伝統文化事業【伝統木版画】


 

原 朝之富士

「原」は古来浮島が原といわれた所で、富士や愛鷹山から南下する渓流が皆この平原に流れて来て、排水の悪いこの地は大雨などには湖になってしまう。しかし鎌倉時代貞應二年(1222)の『海道記』にも「浮島が原をすぐれば、名は浮島と聞ゆれども、まことは海中とは見えず、野径とはいひつべし。草むらあり木樹あり、遙かに過ぎ行けば人煙片々、絶えてまた立つ。」とあり、また天保十年(1839)の『袖鏡』にはこの地について「いにしえは東西三十里、今は草むらにて沼少あり」ともみえ、沼地が大分小さくなってきたようであるが、この作品によるとまだ広々とした感がする。沼津をでると愛鷹山は次第に右手に外れ富士山が人の心をひきしめる、他の街道には見られない風景である。画面の枠から突き出た白い富士山は淡い墨でその山肌を表現し、裾野を隠す愛鷹山は尖った連山の峰々に特色を示している。この画面を『仮名手本忠臣蔵』の八段目の戸無瀬と娘小浪と奴喜乃平とみる者とそれを否定する者とがいる。「今を始めの道中は双六の外しら雲の富士に目ざます朝げしき気もうき島に行くさきは」の道行、戸無瀬の両刀こそ指さぬが、手にする煙管と菅笠など気にかかるものがないわけではない。
本作品は東京都知事指定「東京都伝統工芸品」、文化庁認定「重要民俗文化財
―指定保存技術―」として認定されています。
 

東海道五十三次 初代歌川広重筆
用紙 越前生漉奉書
版木 桜材
復刻版伝統手摺木版画
制作  東京伝統木版画工芸協同組合
認定  NPO法人国際浮世絵文化協会
販売者 株式会社KUMANOYA

額装付き
額 木製 ガラス張
版画紙 和紙
マット 布張り
製法 手摺り版画
定価 35,000円(税別)


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