伝統文化事業【伝統木版画】


 

蒲原 夜之雪

吉原から富士川を船渡しで越すと間も無く岩淵、ここから甲州身延山久遠寺(旧蓮宗の総本山)へ十三里の道が東海道から別れる。そしてこの岩淵から一里弱で蒲原に着く。この絵はこのシリーズのなかで傑作中の傑作と言われるが、実際のスケッチによるものではなく、想像図ではないかとの説がある。一方江戸期の諸本に記載が見られ、「七なん坂雪げしき」の名も見られるという。しかし実在の描写をスケッチに幾分かの雅趣を交えたものとし、画面の高い山を城山(137米)・その左の山を本町の宮の山・さらに左の低くなっている所を西町方面の山・画面右手の三軒ある空間は省略されている御殿場の方角とも
いう。また蒲原は雪が降らぬと言うが、この場所に合うように考えたもので不思議はないと、更に明治以降の改修工事で平坦になったが、以前は二三ヶ所の坂も実在したと説く。ともあれこの作品は二つの大きな摺りの違いの作品がある。一つは一文字といって、画面の最上部に墨のボカシを入れるものと、他は家々の上部からやはりボカシ上げていくものとがあり、前者の方が早い出来と言われている。小降りになったのを見計らって行き来する人であろうか、笠・蓑・傘に雪を積もらせてひっそりと静まりかえった宿場の道を足下も危なげに歩みを進めている。深い自然への融合が見られる傑作である。
本作品は東京都知事指定「東京都伝統工芸品」、文化庁認定「重要民俗文化財
―指定保存技術―」として認定されています。


東海道五十三次 初代歌川広重筆
用紙 越前生漉奉書
版木 桜材
復刻版伝統手摺木版画
制作  東京伝統木版画工芸協同組合
認定  NPO法人国際浮世絵文化協会
販売者 株式会社KUMANOYA

額装付き
額 木製 ガラス張
版画紙 和紙
マット 布張り
製法 手摺り版画
定価 35,000円(税別)


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